変形性膝関節症とは

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
変形性膝関節症とは

変形性膝関節症とは?

膝は、膝の骨の端を覆う関節軟骨と膝の骨と骨の隙間にある半月板という2つの軟骨で守られています。
関節軟骨は、適度な固さと弾力性があるため、摩擦に強く関節の動きをスムーズにしてくれます。
半月板は、弾力性があるため、関節軟骨や骨に伝わる振動を和らげ、膝関節を安定させてくれます。
何らかの原因で、関節軟骨や半月板がすり減ると、膝のなめらかな動きやクッション性、安定性が失われ、痛みなどが出てきます。
これが、変形性膝関節症という病気です。

軟骨(関節軟骨・半月板)がすり減る原因

肥満や膝に負担のかかるスポーツや仕事等による骨折や靭帯損傷、半月板損傷などのけ怪我が影響することがあります。
そして、歳を重ねていきますと、軟骨細胞の新陳代謝が衰え、軟骨が薄くなったり、傷つきやすくなったりします。
軟骨は時間をかけてすり減っていくので気付きにくいですが、だんだん痛みが出てきます。
歩きはじめや立ち上がる時に痛みが出て、少し時間をおくと痛みがなくなるというのが初期症状です。
少し時間をおくと痛みがなくなるからといって放っておくと、軟骨はますます薄くなり、骨に骨棘(こつきょく)というトゲのようなものができたり、骨嚢胞(こつのうほう)という骨髄が空洞化してしまったりもします。
軟骨がすり切れ、無くなってしまうと、骨同士が直接ぶつかってしまいます。
変形性膝関節症の進行とともに、O脚やX脚も強くなり、外見的な変化も出てきます。

変形性膝関節症で、なぜ膝が痛くなるのか?

初期症状の痛みは、運動をした後や運動をした翌日に出てきます。
関節を包む関節包や、膝の靭帯や筋肉に過度な負担がかかったため痛みが出てきているので、膝を休ませれば治ります。
初期症状から少し進行すると、変形性膝関節症特有の膝を動かしはじめた時に痛みが出ます。
これは、炎症によるもので、削り取られた軟骨の破片が関節の内側を覆う滑膜を刺激すため、炎症が起こります。
滑膜に炎症が起こると、多量の関節液が分泌されますが、分泌された関節液の中には炎症を悪化させる物質も含まれています。
放っておくと、さらに炎症が進み、膝を曲げ伸ばしするたびに痛むようになり、歩いたり正座で座ったりするのが辛くなります。
軟骨が失われた末期には、立っているだけでも痛く、やがては安静にしている時や寝ている時でも痛むようになります。

変形性膝関節症の痛みをひき起こす炎症とは?

変形性膝関節症の痛みには、炎症が強くかかわっています。
炎症には急性と慢性があり、慢性化すると、滑膜の変形や癒着も起こります。

炎症が起きているのは膝関節の内側を覆う滑膜

軟骨には神経や血管、リンパ管がないので、軟骨自体に痛みや炎症が生じることはありません。
変形性膝関節症で起こる痛みは、滑膜の炎症によるものが多いです。
炎症は、体を守るための免疫反応の一部で、体が有害な刺激を受けたときに起こります。
本来は、傷ついた組織を修復し、ものに戻すための反応ですが、悪い影響もあります。
炎症を起こした滑膜からは、大量の関節液が分泌されます。
その関節液に含まれるサイトカインという物質には、炎症を悪化させる作用があるため痛みなどの症状が強くなります。

炎症に特徴的な5つの症状

炎症には、5つの特徴的な症状があります。
①発赤…血管が広がって充血する
②腫れ…血管からサイトカインや白血球などを含む水分(関節液)があふれ出る
③痛み…腫れにより周辺の組織が圧迫されて痛む
④発熱…血管が広がって充血することにより熱が出る
⑤機能障害…腫れや痛み、癒着などにより機能的な障害が出る
膝の発赤はあまり目立たないこともありますが、腫れや痛み、熱っぽさ、機能障害(膝の曲げ伸ばしがしにくくなる、歩行がつらくなるなど)は、自覚症状として多く見られます。

急性から慢性へ症状が重くなる

初期の炎症は、短期間で治まる急性炎症ですが、炎症が続くと慢性化します。
慢性炎症は、滑膜の肥厚(滑膜が分厚くなる)や、滑膜と関節軟骨の癒着を招き、膝を動かしにくくなるといった機能障害へつつながります。
痛みや癒着などのために膝を動かせなくなれば、筋力が衰え、関節が固まる(拘縮)も起こって、日常生活がままならないほど症状が悪化してしまいます。

すり減った軟骨が自然に再び増えることは難しい

軟骨には血管がないため、一度傷ついてしまうと、自然に再生することはなかなかできません。
特に、半月板は、裂けたり、すり減ったりした状態が改善することはありません。
なので、過去に半月板損傷を経験した人は、変形性膝関節症になりやすいのです。
関節軟骨については、骨に達するほど深く傷ついた場合に、骨の中心にある骨髄細胞の働きで、一部が再生に向かうこともありますが、完全に修復されるわけではありません(後に詳しく書きます)。
初期や中期の変形性膝関節症なら、保存療法(後に詳しく書きます)を行って、症状を抑え、軟骨の損傷ができるだけ進まないようにすることができます。
手術療法は、自分の関節を残す方法を選択できます(後に詳しく書きます)。
軟骨がなくなってしまった末期の場合、人工関節にするかどうかを検討します(後に詳しく書きます)。

膝に変形性関節症が起こりやすいのは?

変形性関節症が起こりやすい関節
変形性関節症になりやすいのは、首、肩、肘、手の指、背骨(脊椎)、股関節、膝、足の指の関節です。
中でも、体を支えるのに大きな力がかかる腰部の背骨関節、股関節、膝関節は、変形性関節症になりやすいです。
膝関節には、歩くときで体重の約2~3倍、走るときで約5~7倍、階段の上り下りで約3~5倍と、とても大きな負担がかかるのです。
そのため、変形性関節症のなかでも変形性膝関節症がもっとも多いと言われています。
O脚の人は膝関節の内側、X脚の人は膝関節の外側に、より多くの負担がかかります。
日本人はO脚の人が多いため、膝関節の内側の軟骨がすり減る変形性膝関節症が大半です。
また、変形性膝関節症は、加齢とともになりやすく、50歳を越えると徐々に症状が出てきだし、80歳以上になると、ほとんどの人に変形性膝関節症が見られます。

加齢とともに変形性膝関節症が増えるのは?

関節軟骨は、70~80%の水分とコラーゲン、プロテオグリカンなどからできています。
これらの物質は、加齢によって減少していきますが、減少していく理由は、はっきり分かっていません。
しかし、最近の研究で、過剰な力がかかるなど、外部からの刺激に対して、関節軟骨が下記のような反応を繰り返しているうちに、関節の隙間が狭くなり、骨棘と呼ばれる骨のトゲができて、変形性膝関節症が進行していくことが明らかになっています。
●関節軟骨の組織が壊れてすり減る
●関節軟骨の弾力性が低下する
●関節軟骨の性質が変わる

変形性膝関節症を治療する目的は?

変形性膝関節症を治療する目的は、痛みをとること、膝の動きを改善して膝の機能を高めることです。
変形性膝関節症が中期までは、膝の負担を減らすことが治療の基本になります。
膝の負担を減らすための療法として、これら7つが挙げられます。
①生活改善:膝への負担が少ない生活習慣に切り替える
②体重改善:肥満の方は体重を減らし膝への負担を減らす
③運動療法:膝のストレッチ、筋肉トレーニング、全身の有酸素運動を行う
④物理療法:膝を温めたり、冷やしたりして症状を和らげる
⑤装具療法:足底板やサポーターで膝の負担を減らす
⑥薬物療法:例えば、関節痛や神経痛に効くリョウシンJV錠などの薬で痛みを和らげたり、炎症を抑えたりする
⑦関節注射:ヒアルロン酸やステロイド薬を関節に直接注入し、症状を鎮める
これら7つの療法は、変形性膝関節症を予防し、進行を抑えるためにやっておくべきケアであり、特に、初期や中期の症状の方には大きな効果が見込めます。
各々の症状や生活習慣を考慮して、複数を組み合わて行うのがよいです。
これら7つの療法で改善しない場合には、手術療法を検討していきます。
関節の変形がどのような状態なのか、また、どの程度進行しているかによって、手術の方法は変わってきます。
手術療法は、これら3つが挙げられます。
①関節鏡下手術:軟骨の形を整えるために、軟骨の傷ついた部分を削る手術(中期までが対象)
②高位脛骨骨切り術:O脚を矯正する手術(中期までが対象)
③人工膝関節置換術:人工関節に置き換える手術(末期が対象)
初期や中期の症状の方は、膝の負担を減らすための7つの療法を3~6ケ月行いましょう。
膝の負担を減らすための7つの療法を3~6ケ月行っても症状が改善しないときは、手術療法が治療の選択枠に加えられます。
変形性膝関節症の末期で、日常生活もままならないほど膝の痛みが強く、画像検査でも関節の変形が重度の場合は、人工関節置換術を検討します。

整形外科を受診することが望ましい症状は?

変形性膝関節症は、早めに対処することが大切ですので、膝に異常を感じたら、早めに整形外科で受診しましょう。
初期や中期のうちに何かしらの療法をはじめれば、病気の進行を遅らせることができます。
次のような症状が1つでも当てはまる場合、変形性膝関節症の可能性が高いので、強い痛みがなくても、一度、整形外科で受診してください。
●膝のこわばり、違和感(特に、朝起きた時に強く感じる
●長時間歩いた後に痛む
●膝を曲げ伸ばしする時に。引っかかる感じがする
●歩きはじめや立ち上がる時など、動かしはじめに膝が痛い
●以前よりO脚がひどくなっている
また、次のような症状が1つでも当てはまる場合、整形外科の専門的な診察と治療が必要です。
●膝が熱っぽい
●膝が腫れている
●痛みのために歩行や階段の上り下り、正座がつらい
歩行や階段の上り下りの時、膝くずれを起こす
●安静にしているとき、寝ているときも痛む
●膝がまっすぐ伸びない
●膝がしっかり曲がらない
膝の痛みがあるのに、年のせいだからといって、あきらめている人がいます。
しかし、そのまま放っておけば、ますます悪化し強い痛みや関節の変形により、寝たきりになることがあります。

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*