変形性膝関節症かどうか簡単に自己チェックできるサイトです

変形性膝関節症かどうか簡単に自己チェックできるサイトです。

その痛みは、もしかして変形性膝関節症かもしれませんので、下記の「はい」、「いいえ」を順に選択していき、変形性膝関節症かどうか自己チェックをしましょう。
痛いのは、膝だけで、他の関節は痛くないですか?
【はい】
膝が痛くなる原因として、思いあたることがある?

例)

・最近、スポーツをはじめた

・急に膝を酷使した

・最近、転んだり膝を強くぶつけたりした

【はい】
半月板損傷、靭帯損傷、ランナーズ膝(腸脛靭帯炎)が疑われます。悪化しないうちに、整形外科を受診しましょう。
【いいえ】
急に強い痛みが生じる?
【はい】
大腿骨顆部骨壊死が疑われます。すぐに整形外科を受診しましょう。
【いいえ】
変形性膝関節症が疑われます。

※昔、膝を怪我したことがある人や、激しいスポーツをしていた人、肥満の人、中高年以上の人は、とくに疑いが濃厚です。

下記の症状の場合は、変形性膝関節症の初期かもしれません。動作の工夫、生活改善、運動療法を試してみましょう。

・膝を動かしはじめると痛い

・膝を動かさないでいると、こわばったようになる

下記の症状の場合は、変形性膝関節症の中期かもしれません。早めに整形外科を受診しましょう。

・階段の上り下りで膝が痛む

・膝に水がたまったり、腫れて熱っぽくなることがある

・膝の曲げ伸ばしがしにくい

・膝くずれが起きる

・膝からガリガリと音がすることがある

下記の症状の場合は、変形性膝関節症の末期かもしれません。すぐに整形外科を受診しましょう。

・立っていることが辛く、痛みのため歩行が困難

・安静時や寝ている時でも痛い

・O脚がひどくなっている

【いいえ】
体の左右どちらかに痛みが出たら、逆の方も痛くなってきた?
【はい】
関節リウマチが疑われます。すぐに整形外科かリウマチ科を受診しましょう。
【いいえ】
足の拇指の付け根が激しく痛い?
【はい】
痛風が疑われます。すぐに内科を受診しましょう。
【いいえ】
発熱、悪寒、だるさ、食欲不振などの全身症状がある?
【はい】
偽痛風や化膿性関節炎が疑われます。すぐに整形外科を受診しましょう。
【いいえ】
膝以外の変形性膝関節症が疑われます。早めに整形外科を受診しましょう。

変形性膝関節症の治療について

変形性膝関節症の治療について
変形性膝関節症の治療は、保存療法と手術療法があります。
保存療法には、膝の負担を減らす生活改善、体重コントロール、運動療法、装具療法、痛みを取る薬物療法、物理療法、関節内注射があります。
手術療法にも種類があり、膝の状況によってどんな手術を行うか選びます。
このページの目次

保存療法について

変形性膝関節症を治療する目的は、痛みなどのつらい症状を和らげることと、膝の機能である支持性、可動性、無痛性を高めることです。
効果の異なる治療法を組み合わせて、症状の改善を目指します。
膝の負担を減らし、痛みの治療を行いながら、膝の動きや安定性をよくしていきます。
保存療法は、治療目的に近づくための積極的な手段で、特に、単純X線検査で、関節の変化がグレード2くらいまでの軽度と判断された場合は、適切な保存療法を行うと、病気の進行を遅らせることができます。
生活改善や体重コントロール、装具療法で膝の負担を減らすと同時に、運動療法で膝を支える筋肉を鍛え、膝の安定性を高めるというのが基本です。
痛みや炎症に対しては、その程度に応じて、物理療法、薬物療法、関節内注射を組み合わせて治療します。
膝に負担のかかる生活を続ける限り、変形性膝関節症は進行しますが、痛いからと動かずにいると、下肢ばかりでなく全身の筋力や心肺機能が衰えていきます。
大切なのは、膝を動かしながた治していくことです。
生活改善や体重コントロール、運動療法は鎮痛剤や関節内注射のような即効性はありませんが、特に、初期や中期の場合は、十分に効果を実感できます。
膝の痛みは、痛みそのものの辛さもさることながら、痛みのせいで、したい事ができない、行きたい所に自由に行けないという生活の質の低下が大きな問題です。
変形性膝関節症を治療すれば、自分の足で行きたい所に行けるようになり、生活の質が改善できます。
そして、要介護や寝たきりの予防ができます。
変形性膝関節症は、寝たきり予備軍であるロコモティブシンドロームの危険因子です。
買い物や散歩、旅行などを自由に楽しみたいという具体的な目標は、保存療法を続けるための原動力になります。

生活改善と体重コントロールで膝の負担を減らす

生活習慣や環境を見直し、肥満があれば減量してみましょう。
小さな改善を積み重ねることによって、膝の負担を減らすことができます。

膝に優しい洋式の生活

正座など膝を深く曲げることの多い洋式の生活から、テーブルと椅子、ベッド、洋式トイレの生活に切り替えると、膝の負担は軽くなり、痛みを感じる場所も少なくなります。
重い荷物を持ち歩くのを避けたり、かかとの高い不安定な靴をやめて、安定感のある靴を履くなど、生活習慣を改善することも大切です。
立っている時や歩いている時、座る時などの姿勢の改善、階段の上り下り、ちょっとした動作の改善なども効果的です。

膝の負担を軽くする体重コントロール

体重を適正に保つことは、変形性膝関節症の治療で要になります。
肥満の人は、減量するだけで膝の痛みが和らぐことがあります。
大切なのは、ただ体重を減らすのではなく、タンパク質やビタミン・ミネラルなどを十分に摂取し、筋肉量を保ちながら脂肪を減らしていくことです。
食事療法と運動療法を適切に行いましょう。体重コントロールは、糖尿病や高血圧、脂質異常症などの生活習慣病の改善に役立ちます。

住居のバリアフリー化

家の中は、案外、段差が多く、特に、古い日本家屋では、玄関やお風呂場などに、大きな階段のあることがあります。
膝の負担を減らすためには、段差をなくすバリアフリー化をできるだけ進め、しゃがむ動作が避けれない玄関やトイレ、お風呂場には、手すりを設置することが望ましいでしょう。
最近は、ホームセンターなどで、簡単に取り付けられる手すりや段差プレートを購入できます。
介護保険の住宅改修を多く取り扱っている工務店に相談するのも良いかもしれません。

運動療法で膝の負担を減らす

運動療法は、筋トレ、ストレッチング、有酸素運動の3つをバランスよく行うことが大切です。
膝を支える筋肉を強化し、膝の柔軟性を保つことができます。

筋力アップと血流改善が痛みの軽減につながる

膝が痛いからといって動かさないと筋肉が減っていき、膝が不安定になり、関節への負担が増して、更に強い痛みを感じるという悪循環に陥ってしまいます。
筋肉を動かさないと血流が悪くなり、痛み物質や疲労物質が排出されにくくなります。
運動療法で筋肉を増やして膝を安定させ、筋肉を動かすことで血流を良くして、痛み物質や疲労物質の排出を促します。
血流が改善すると、関節内の組織の新陳代謝が良くなり、細胞が活性化して関節軟骨が再生しやすくなるという効果も期待できます。
運動療法は、薬物療法などの対症療法と異なり、直接、膝に働きかけることができる治療法です。
膝に負担のかからないよう、仰向けで行う運動や水中での運動、エアロバイクなどが中心になります。
強い痛みがある時期は、器具を使った筋トレや全身を動かす有酸素運動は行いません。
筋肉を増やす筋トレ、筋肉や靭帯などの柔軟性を高め血流促進の効果のあるストレッチング、全身の筋力アップや体重コントロールに有効な有酸素運動をバランスよく行うことで効果を得られます。
個人差はありますが、1~2ケ月続けると痛みが改善します。

理学療法士の指導で行う運動療法もある

理学療法士は、医学的リハビリテーションを行う専門職の一つで、医師の指示(運動処方)に基づいて、運動療法や物理療法を実施・指導します。
病院やクリニックのリハビリ室、あるいは運動療法室で器具を使った筋トレやストレッチング、有酸素運動を行う他、自宅での運動メニューなども指導してくれます。
理学療法士による運動療法を受けるメリットは、正しい運動療法の方法を覚えられることや一人一人に合った運動を考え、運動の強度を調節してくれることです。
膝の負担を軽くする姿勢や動作についてもアドバイスしてくれたり、自宅の段差解消や手すり設置について相談することもできます。

装具療法で膝の負担を減らす

靴の中敷きのような足底板で膝の角度を調整する

膝の変形が進み、O脚やX脚が悪化すると、すり減った側の軟骨に大きな負担がかかり痛みが強くなります。
足底版は、靴の中敷きのようなもので、O脚の場合は足の外側、X脚の場合は足の内側の部分が高くなっていることが特徴です。
足底版を利用することによって、膝の角度を調節することができます。
体重がかかるのは、股関節の中心と、足股関節の中心を結んだ荷重線です。

荷重線
荷重線

引用元;八木貴史(2014). ひざの痛み 変形性ひざ関節症 主婦の友社

O脚の人は、荷重線が膝の内側に偏っているため、内側の軟骨がすり減りやすいのです。

荷重線 O脚
荷重線 O脚

引用元;八木貴史(2014). ひざの痛み 変形性ひざ関節症 主婦の友社

軟骨がすり減れば、ますますO脚が進み、痛みも増しますが、足の外側が高い足底版を靴に入れると、荷重線が膝の中心に近づきます。
荷重線が膝の中心に近づくと、膝全体でバランスよく体重を支えられるようになり、痛みが軽減するのです。
靴の中敷きとして使うタイプの他に、足に直接装着するタイプもあります。
体重がかかるのは、股関節の中心と、足股関節の中心を結んだ荷重線です。

O脚の人
O脚の足底版

引用元;八木貴史(2014). ひざの痛み 変形性ひざ関節症 主婦の友社

外側に厚みのある足底版を入れ、足の外側に偏っている体重を分散させます。

荷重線 X脚
荷重線 X脚

引用元;八木貴史(2014). ひざの痛み 変形性ひざ関節症 主婦の友社

X脚の人
X脚の足底版

引用元;八木貴史(2014). ひざの痛み 変形性ひざ関節症 主婦の友社

土踏まずのあたりに厚みのある足底版を入れ、偏っている体重を分散させます。

足底板を作ったり調整するのは義肢装具士

医師の処方による医療用の足底板は、市販のものより高額ですが、公的医療保険が適用されます。
その人の体型や症状に合うものを作るために、義肢装具士が採寸や型取りを行い、試着と微調整を経て完成します。
少し時間はかかりますが、義肢装具士や医師と相談しながら作れることは、大きなメリットです。

支柱入りサポーターを使うと膝が安定し歩行が楽になる

支柱入りサポーター
支柱入りサポーター

引用元;八木貴史(2014). ひざの痛み 変形性ひざ関節症 主婦の友社

太ももから膝下までを覆うサポーターで、金属やプラスチックでできた支柱によって、膝をしっかり支えます。
一般的なサポーターと比べ、支える力が強いため効果的です。
膝の動きを支える大腿四頭筋や靭帯が弱っている場合は、支柱入りサポーターを使用することによって、膝が安定し、歩行などの動作が楽になります。
しかし、サイズが合っていないと、血行不良により痛みが悪化することもありますが、医師の処方を受けて、体型に合うものを使用することが望ましいでしょう。

医師が必要と判断すれば保険適用になる杖

杖の種類
杖の種類

引用元;八木貴史(2014). ひざの痛み 変形性ひざ関節症 主婦の友社

杖を使用すると、膝の負担が20%程度減ることが分かっています。
市販の杖を購入してもよいのですが、医師が必要と判断した場合は、公的医療保険が適用されます。
医療用の杖として、地面につく部分が3~4つに分かれた安定性の高い多点杖を選ぶこともできます。
普通、1本杖にするか、多点杖にするかは、医師や理学療法士と十分に相談し、自分自身の生活に合ったものを購入するようにしましょう。

物理療法で膝の痛みを和らげる

医療機関で行う温熱療法は深部まで温められます

物理療法とは、温熱、寒冷、微弱な電気、光線などの物理エネルギーを体に加える治療法です。
変形性膝関節症の場合は、温熱、寒冷、微弱な電気がよく用いられます。
温熱と微弱な電気は、血液をよくすることで慢性的な痛みを和らげ、寒冷は急性の炎症を鎮める効果があります。
家庭でも温めたタオルや入浴などで手軽に温熱療法を行えますが、医療機関では、ゼリー状の温熱剤が入った温湿布や赤外線、微弱な電気(マイクロ波、低周波、高周波、超短波)、超音波など、多様な方法で行います。
温熱療法の種類は、
ホットパック(温湿布)…保温性の高いゼリー(温熱剤)が入ったパックを温め患部に15~20分あてます。
赤外線…血管を拡張させて血流をよくし細胞の新陳代謝を活発にする。
超短波、マイクロ波…超短波はプラスとマイナスが1秒間に2700万回も入れ替わる電波を利用し、細胞に摩擦熱を発生させる。マイクロ波は超短波よりも波長が短い電波です。
超音波…音波の振動による刺激で細胞の新陳代謝を活性化させる。
低周波電気刺激、高周波電気刺激…ごく弱い電流で神経を刺激して痛みを和らげます。
膝が温まって血流が改善すると、細胞の新陳代謝が促され、痛み物質の排出を促進するだけでなく、筋肉や靭帯の緊張がほぐれて、膝が動かしやすくなります。
医療機関で行う温熱療法のメリットは、膝のより深い部分を温められることです。

膝が熱を持っている時は寒冷療法で炎症を鎮める

長時間歩いた後に、膝が腫れて熱っぽくなっているときは、急性の炎症が起こっているので、患部を冷やす寒冷療法を行います。
血管を収縮させて腫れを抑えたり、細胞の新陳代謝を低下させて炎症を鎮める効果があります。
最も簡単な寒冷療法は、氷や冷たいタオルなどで直接冷やすことです。
氷と水を入れた氷のうやビニール袋をタオルでくるみ、膝を冷やします。
ただし、冷やしすぎると、凍傷などの皮膚トラブルを招くことがあるので、気持ちいいと感じる程度にとどめておきましょう。
数日~1週間程度、冷やしながら様子を見て、熱や腫れが引いたら温熱療法に切り替えます。
詳しい方法や切り替えるタイミングなどは、医師や理学療法士に相談しましょう。

薬物療法で膝の痛みを和らげる

薬の効果で痛みをとったり炎症を鎮めたりします。
副作用に注意しながら、外用薬(塗り薬や貼り薬)、内服薬、座薬を使い分けましょう。

薬物療法は痛みのある時だけ使い、予防的に使うことは避ける

変形性膝関節症の薬物療法に使われるのは、痛みをとる効果のあるアセトアミノフェンや抗炎症作用もある非ステロイド性消炎鎮痛薬です。
変形性膝関節症による膝の痛みは、炎症が主因なので、一般的には、非ステロイド性消炎鎮痛薬が主に用いられます。
ただし、非ステロイド性消炎鎮痛薬は、長期間使用すると、胃もたれ、胃痛、食欲不振などの胃腸障害が起こりやすいので注意が必要です。
同じ非ステロイド性消炎鎮痛薬でも胃腸障害が起こりやすいものと、比較的、起こりにくいものがあり、薬の種類によっては、胃や腸の粘膜を守る薬を一緒に飲む必要があります。
一方、アセトアミノフェンは、抗炎症作用はないものの、胃腸障害などの副作用が比較的起こりにくいという特徴があります。
それでも、副作用が全く無いわけではありません。
鎮痛薬は、痛みがあるときにだけ使うのが基本です。
予防的な意味で飲むと、副作用の危険が増すだけでなく、特に、非ステロイド性消炎鎮痛薬は、長く飲み続けると、骨と軟骨に悪影響を及ぼすことがあります。

外用薬、内服薬、座薬をうまく使い分ける

鎮痛薬には、塗り薬や貼り薬といった外用薬、口から飲む内服薬、直腸から薬剤を吸収させる座薬があります。
塗り薬や貼り薬の主な有効成分は、非ステロイド性消炎鎮痛薬ですが、皮膚から成分が吸収され、内服薬に比べて重い副作用は出にくいといわれています。
その反面、作用は穏やかです。
また、皮膚の弱い人は、かぶれに注意が必要です。
一般的には、まず外用薬を試し、十分な効果が得られないときに、次の一手として内服薬を用います。
座薬は、即効性があるため痛みが強い時に有効です。
重い副作用も比較的起こりにくいとされていますが、慣れるのに時間がかかることがあり、また、正しく挿入しないと効果が得られないという一面もあります。
どのようなタイプの鎮痛薬を使うかは、痛みの程度た生活習慣、扱いやすさなどを考慮する必要があります。
担当医の説明をよく聞き、自分自身の生活習慣なども伝えて、相談しながら決めましょう。
副作用については、薬局の薬剤師からも十分に説明してもらい、気になることがあったら、早めに担当医や薬剤師に相談しましょう。

変形性膝関節症に使われる鎮痛剤の種類

アセトアミノフェン
特徴:一般的に、妊娠中やインフルエンザの際にも使用可能。市販の風邪薬などにも含まれる。抗炎症作用はない。
副作用:胃腸障害は少ないが、肝障害が問題となりやすい。
商品名:アンヒバ、カロナール、ピリナジンなど
非ステロイド性消炎鎮痛薬
特徴:医療機関で一般的に処方される鎮痛薬です。飲み薬、座薬、貼り薬、塗り薬があります。
副作用:胃腸障害。長期間の仕様により、出血を伴う消化管潰傷の危険性が高まります。気管支炎、肝障害、腎障害にも注意が必要です。
商品名:ロキソニン、ボルタレン、ナボールSR、インテバンなど
COX-2(コックスツー)阻害薬
特徴:比較的、副作用が起こりにくいため、長期投与に向いています。非ステロイド性消炎鎮痛薬に比べると、鎮痛効果がやや弱いです。
副作用:胃腸障害
商品名:セレコックス、モービック、ハイペン、オスペラックなど
オピオイド鎮痛薬
特徴:強い慢性の痛みにも効果がある医療用麻薬。飲み薬と貼り薬があります。非ステロイド性消炎鎮痛薬でも十分に効果が得られないような強い慢性疼痛に対して、医療用麻薬のオピオイド鎮痛薬が使われるようになり、種類も増えています。医療用麻薬にマイナスイメージを抱くことが多いですが、正しく使用すれば安全に大きな効果が得られます。副作用予防のために、一緒に胃腸薬が処方されることがあります。長期間使用する場合は血液検査で肝機能などを定期的に調べます。
副作用:吐き気、便秘、めまいなど
商品名:トラムセット、トラマール、ノルスパンテープなど

外用薬、内服薬、座薬の長所と短所

薬の成分は血流によって運ばれるため、外用薬や座薬でも胃腸障害や全身的な副作用が起こる可能性はあります。
外用薬の長所
・手軽に使える
・皮膚から吸収され成分が効率よく膝に運ばれる
・重い副作用が起こりやすい
外用薬の短所
・強い痛みには適さない
・皮膚がかぶれることがある
内服薬の長所
・効果が高い
・手軽に使える
内服薬の短所
・成分によっては副作用が出やすい
・胃腸薬の併用が必要なことがある
座薬の長所
・即効性があり、強い痛みに有効
・重い副作用が出にくい
・肛門に挿入するので、成分が直腸の毛細血管から吸収される
座薬の短所
・挿入に慣れるのに時間がかかる
・正しく挿入しないと効果がない
・挿入の際、プライバシーの確保が必要

市販の痛み止めの効果は?

痛み止めの外用薬(湿布、ローションなど)や内服薬を薬局や薬店で購入して、痛みをしのいでいるという人も少ないかもしれません。
最近は、長く医療用として使われ、効果と安全性が十分に確かめられた薬が市販用の商品になることも増えています。
アセトアミノフェン(商品名:ノーシンなど)や、非ステロイド性消炎鎮痛剤のイブプロフェン(商品名:イブA錠など)、ロキソプロフェンナトリウム水和物(商品名:ロキソニンなど)、ジクロフェナクナトリウム(商品名:ボルタレンなど)などがそうです。
これらは、有効成分の含有量が病院の処方箋より少ないだけで、使用法や副作用は同じです。
添付されている使用上の注意をよく読み正しく使いましょう。

関節内注射で膝の痛みを和らげる

関節内に薬剤を直接注射する治療法です。
ヒアルロン酸製剤は、初期から使うこともありますが、ステロイド薬は中期以降に使用します。

ヒアルロン酸製剤の注射
ヒアルロン酸製剤の注射

引用元;サイト名:ヒアルロン酸/効果的部位と治療|膝・肩・腰の整形外科【東京】

少なくなったヒアルロン酸を関節に注射して補う

関節液の主成分ヒアルロン酸は、粘り気のある無色透明の液で、滑らかさと弾力性に優れ、関節の潤滑油として働いています。
加齢に伴ってヒアルロン酸が徐々に減少すると、関節液のヒアルロン酸濃度も低下し、粘り気がなくなって、滑らかさや弾力性も失われます。
変形性膝関節症の人では、滑膜の炎症により滑液が多量に分泌されるために、関節液はさらに薄まり、潤滑油としての役割を十分に果たせなくなってしまいます。
そこで、ヒアルロン酸製剤を関節内に直接注入してヒアルロン酸を補う治療法が1980年代後半から行われるようになりました。
いわば、動きの悪くなった機械に、潤滑油をさすのと同じです。

症状の改善の経過を見ながら注射の頻度を見極める

ヒアルロン酸製剤を注射することによって、関節液の働きが正常に近づき、痛みや炎症が和らぐ他、膝を動かしたときの滑らかさも、人によって程度の差はありますが、回復していきます。
注射をする頻度は、製剤に含まれるヒアルロン酸の分子量によって異なりますが、週一回の頻度で3~5回注射するのが一般的です。
あるいは、2~4週間に1回の注射を継続して行うこともあります。
症状がどれくらい改善するか様子を見ながら、注射の頻度を見極めます。

ヒアルロン酸製剤の注射は炎症を鎮めてから行う

変形性膝関節症の保存療法として、優れた効果を発揮するヒアルロン酸製剤の関節内注射ですが、より良い効果を得るためには、まず、炎症を鎮めるというのが基本です。
他の保存療法で、炎症を少しでも改善してから注射したほうが、高い効果を期待できます。
膝に水がたまる関節水腫になっている時は、先に水を抜きます。
濃度の低い関節液が多量にあるところに、高濃度のヒアルロン酸を注射しても、すぐに薄まってしまうからです。

炎症や痛みが強い時はステロイド薬の関節内注射

ステロイド薬は抗炎症作用が非常に強いため、膝の炎症や痛みが強度で日常生活に支障がある場合などには、劇的な効果をもたらします。
ステロイド薬には、関節軟骨の新陳代謝を妨げたり、新しい骨が作られるのを阻害する危険性があるので頻繁に行うことはできません。
場合によっては、急激な関節の破壊が起こるステロイド関節症を発症することがあります。
このような副作用を防ぐために、注射の間隔を少なくとも6週間以上あけ、何年も続けて実施することは避けます。

関節内注射後の注意事項

関節内注射の様子
関節内注射の様子

引用元;サイト名:関節内注射|にしぼり整形外科|茨城県笠間市

注射後は指示に従って病院内で安静にしましょう(動悸や息苦しさ、じんましんに注意)。
激しい運動は数日避けましょう。
注射したところを揉んだり、不潔な手で触ったりしない。
膝の痛みや熱っぽさの悪化、全身の熱やだるさなど、異常を感じたらすぐに医療期間に相談しましょう。

ヒアルロン酸関節内注射の副作用

ヒアルロン酸製剤の関節内注射には、副作用がほとんどありませんが、ヒアルロン酸に対してアレルギーのある人がいます。
また、針を刺したところから細菌が入り、関節内で増殖して化膿性関節症を起こすことがまれにあります。

ステロイド薬の関節内注射について

注射の方法は、ヒアルロン酸製剤の関節内注射と同じです。
ステロイド薬を注入することにより、関節内の炎症が治まり、痛みも改善します。

膝に溜まった水を抜く治療

炎症によって膝に水が溜まり、関節水腫という状態になると、炎症が悪化したり、膝の動きが悪くなったりします。
そこで、一時的に炎症を和らげるために、膝に溜まった水を注射器で抜き取る治療を行うことがあります。
水を抜くと癖になるというのは間違いで、抜いた後に、再び水が溜まるのは、炎症が続いているからです。
水を抜いて炎症の悪化を食い止め、膝を動かしやすくした上で、保存療法を適切に行えば、多くの場合、炎症は改善します。
水を抜いた後に、ヒアルロン酸製剤の関節内注射を行うと、膝の動きが改善し、保存療法の効果が上がることが期待できます。
水を抜いた日は入浴を控え、針を刺した部分に触らず、清潔に保ちましょう。

手術療法について

一般的に、保存療法を3ケ月~6ケ月行っても十分な効果がなく、生活に支障がある場合に手術を考えます。
手術法は、年齢や病期、術後の生活などを考慮します。

変形性膝関節症の手術は、目的によって2つに分けることができます。

1つは、痛みなどの症状の緩和を目指す手術で関節鏡を使って行います。
もう1つの手術は、変形した関節の形を整えて治療をめざす手術で、高位脛骨骨切り術と人口関節置換術があります。
症状緩和と治療のどちらを目的にするかは、変形性膝関節症の病期や年齢、持病の有無など全身状態、生活背景などを総合的に考え、患者さんの希望も聞いて判断します。
手術は、それぞれに長所と短所があるので、説明を聞いたうえで、自分がどのような生活がしたいか具体的に伝え、手術の適合について、主治医とよく相談して決めることが大切です。

関節内を綺麗にして症状を緩和する関節鏡下手術

関節鏡下手術は、直径4mmほどの関節鏡を関節内に入れ、内部の様子をモニター画面で見ながら、専門の手術器具で軟骨のけば立った部分などを取り除く手術です。
1cm程度の傷が2~3カ所できますが、大きく切開する必要がないため体への負担が小さく、術後の痛みも比較的軽度で、社会復帰が早いという長所があります。
非常に高齢な人や持病のある人にも行え、再手術が可能で、若い人は人工膝関節置換術までの繋ぎとしても有用です。
半月板損傷による痛みが強い場合は、この手術で7~8割の人は改善します。
短所は、手術でどの程度、症状がよくなるか予測が難しいことです。
関節軟骨損傷による痛みが強い場合、2~3割の人は十分な効果が得られません。

治癒を目指す高位脛骨骨切り術と人工膝関節置換術

高位脛骨骨切り術は、脛骨(すねの骨)の一部を切ってO脚を矯正する手術です。
膝の内側に偏っていた荷重を膝全体にバランスよくかかるようにします。
自分の関節を残すことができ、治療後は膝に負担のかかる仕事やスポーツにも復帰可能ですが、切った骨がしっかりつく(癒合する)までに時間がかかります。
人工膝関節置換術は、関節の痛んだ部分を切除して人工膝関節に置き換える手術です。
強い痛みや歩行困難があっても、術後にリハビリを行うことによって、普通の生活ができるようになります。
ただし、膝の負担にかかる仕事やスポーツ、正座などは避けなければなりません。
細菌感染などの合併症にも注意が必要です。
また、人工膝関節の寿命(耐用年数)は20~25年といわれます。
再手術を避けるためにも、手術の時期は慎重に検討します。
一般的には、変形性膝関節症の末期で65歳以上の人が対象です。
ただし、活動性の高いスポーツなどを希望する場合は、人工膝関節は不向きです。

手術療法の種類と長所・短所

症状の緩和が目的の手術
関節鏡下手術(関節鏡下郭清術)
【長所】
・体への負担が少なく、早く社会復帰できる
・高齢の方、持病のある方も行える
・再手術が可能
・人工膝関節置換術までのつなぎとして行える
【短所】
・2~3割の人は十分な効果が得られない
・効果の予測をするのが難しい
・治癒を目指す手術ではなく、痛みが再発することもある
【入院期間】
7~10日
【日常生活に戻るまでの期間】
術後1~3週間
症状の緩和が目的の手術
高位脛骨骨切り術
【長所】
・自分の関節が残せる
・膝に負担のかかる仕事やスポーツに復帰できる
・見かけ上のO脚が矯正できる
・術前と術後の関節可動域の差が少ない
・年齢が若くても可能
【短所】
・骨がしっかりつくまでに時間がかかる
・1~2年後にプレートを抜去する手術が必要
・この手術法に合っている人でないと痛みが取れない
・手術に習熟している医師が少ない
【入院期間】
4~6週間
【日常生活に戻るまでの期間】
術後2~3ヶ月
人工膝関節置換術
【長所】
・強い痛みや歩行障害がある人には効果が高い
・手術に習熟した医師が比較的多く、自宅近くの病院で受けられることが多い
【短所】
・膝に負担のかかる仕事やスポーツ、正座はできない
・人工膝関節の寿命(20~25年)やゆるみ、細菌感染などのために、再手術が必要になることがある
・この手術法に合っている人でないと痛みが取れない
・手術に習熟している医師が少ない
【入院期間】
4週間程度
【日常生活に戻るまでの期間】
術後2~3ヶ月

手術療法①:痛んだ軟骨を整える関節鏡下手術

膝の関節鏡下手術
膝の関節鏡下手術

引用元;サイト名:Q&A | 膝(半月板・前十字靭帯)肩・肘・足の損傷に対する関節鏡手術なら

軟骨のけば立った部分を取り除いて整え、関節内を綺麗にします。
初期や中期の人が対象で、人工膝関節置換術までのつなぎとしても実施します。

1cm程度の孔から関節鏡を挿入して関節内を掃除

関節鏡下手術は、膝のお皿(膝蓋骨)の周辺に1cm程度の孔を2~3カ所あけています。
1カ所から直径4mmの関節鏡を挿入し、映し出されるモニターで観察しながら、別の孔から特殊な手術器具を入れて、切れている半月板や滑膜、剥がれかけた軟骨を切除したり、関節内に浮遊している軟骨を取り除きます(関節鏡下郭清術)。
手術に要する時間は、40~60分程度が目安です。
この手術の主眼は、関節の中を綺麗に掃除して、炎症が起こりにくくすることですが、他の処置を付け加えることもあります。
例えば、膝を真っすぐに伸ばせなくなると、骨棘が膝の正常な働きを邪魔している場合は、関節鏡下郭清術と同時に、骨棘を切除します。
また、軟骨の再生を促す処置を行うこともあります。
軟骨がなくなって骨がむき出しになっている部分(欠損部分)に、小さな孔をたくさんあけ、わざと骨髄から出血させます。
こうすることによって、血液に含まれる軟骨の元となる細胞が欠損部分に誘導され、軟骨の再生が期待できるのです。
ただし、この処置で再生される軟骨は、半月板と同じ線維軟骨で、関節軟骨本来の硝子軟骨ではありません。
また、時間の経過とともに、再び擦り減ってくることが避けれませんが、徐々に線維軟骨が硝子換骨に置き換わるという研究報告もあります。

早い時期に普通の生活に戻れる

関節鏡とは
関節鏡とは

引用元;サイト名:Dr.MIYA Web Site >> スポーツドクターみやの日記

関節鏡下手術は、全身麻酔または腰椎麻酔で行います。
また、手術の後の創(きず)が小さく出血も少ないため、術後の回復は早く、手術の翌日から歩くことができます。
合併症などがなければ、手術の翌日に退院となる病院もありますが、退院は術後7日から10日程度が一般的です。
多くの場合は、術後1週間から3週間程度で、日常生活に戻ることができます。

手術療法②:O脚を矯正する高位脛骨骨切り術

脛骨の一部を切り取り、膝の異常な内反(O脚)を矯正します。
膝全体にバランスよく荷重がかかるようにして、変形性膝関節症の進行を抑える手術です。

2種類の手術があり、それぞれに長所と短所があります

オープンウエッジ法
オープンウエッジ法

引用元;八木貴史(2014). ひざの痛み 変形性ひざ関節症 主婦の友社

大腿骨と脛骨の角度が矯正され、膝の内側に骨の隙間ができる。
荷重が膝全体にバランスよくかかるようになる。

クローズドウエッジ法
クローズドウエッジ法

引用元;八木貴史(2014). ひざの痛み 変形性ひざ関節症 主婦の友社

腓骨も長さを合わせるために少し切り取る。
腓骨をどのくらい、どんな角度で切り取るのか、その調整が難しく、腓骨を切り取ることで一時的に腓骨神経が麻痺し、足首を動かしにくくなることがあります。
高位脛骨骨切り術には、オープンウエッジ法とクローズドウエッジ法という2種類があります。
オープンウエッジ法もクローズドウエッジ法も、手術の前段階として、関節鏡下郭清術を行って、半月板、関節軟骨、滑膜をきれいに整えます。
関節鏡下手術+骨切り術ということになります。
オープンウエッジ法は、脛骨の内側に切り込みを入れ、くさび状に広げて人工骨で埋め、プレートで固定する手術です。
一方、クローズドウエッジ法は、脛骨の外側をくさび状に切り取り、骨を合わせてプレートで固定します。
脛骨のうしろにある腓骨も長さを合わせるために少し切り取ります。
主流は、腓骨を切る必要がないことと、人工骨の材質がよくなっていることからオープンウエッジ法です。
しかし、膝蓋大腿関節症の強い人には向きません。
また、矯正する角度に限度があるため、O脚の程度が強い人にも不向きです。
手術に要する時間は、どちらも90分程度です。

活動的に過ごしたい人に適した手術

O脚の程度を判断する大腿骨脛骨角
O脚の程度を判断する大腿骨脛骨角

引用元;八木貴史(2014). ひざの痛み 変形性ひざ関節症 主婦の友社

185度以内なら、高位脛骨骨切り術のオープンウエッジ法が可能
200度程度までなら、高位脛骨骨切り術のクローズドウエッジ法が可能
高位脛骨骨切り術の最大のメリットは、術後も仕事やスポーツに、ほとんど制限がないことです。
骨がつく(癒合する)までに時間がかかるため、入院期間が4~6週間と長く、日常生活に戻れるのは、手術から2~3か月後くらいですが、活動的に過ごしたいという人には適しています。
実施できるのは次のような人です。
●変形性膝関節症の初期から中期
●膝の内側だけが傷んでいて、それ以外の部分は健康
●O脚の程度をあらわす大腿骨脛骨角が200度程度
●関節の動きや日常生活の活動性がある程度保たれている
●肥満が高度でない(高度の場合は減量が必要)
●骨の強度が保たれている
●喫煙していない
年齢的には30~70歳の人とされていますが、状況によっては、これよりも若い人や高齢の人でも可能です。

高位脛骨骨切り術に使う人工骨とは

骨の欠けた部分を補うために、人工的に作られた素材を人工骨といいます。
かつては、金属やセラミックスが使われていましたが、最近はハイドロキシアパタイトなどのバイオ(生体機能)セラミックスが主流です。
バイオセラミックスは、体に負担のかかりにくい粗大で、時間とともに吸収されて骨に置き換わることが期待できます。
最近は、高い確率で骨に置き換わる素材も開発されています。
高位脛骨骨切り術のオープンウェッジ法を行うとき、以前は一部の腰の骨を使っていたため、患者さんの負担が大きかったのですが、人工骨の進歩によって体への負担が少ない低侵襲化が進んでいます。

手術療法③:変形が進んだ人に行う人工膝関節置換術

関節の傷んだ部分を取り除き、人工関節に置き換えます。
膝全体に行う全置換術と、膝の内側か外側のどちらかに行う単顆片側置換術があります。

人工関節の構造
人工関節の構造

引用元;八木貴史(2014). ひざの痛み 変形性ひざ関節症 主婦の友社

膝全体を人工膝関節に置き換える全置換術

人工関節全置換術
人工関節全置換術

引用元;八木貴史(2014). ひざの痛み 変形性ひざ関節症 主婦の友社

人工膝関節は、大腿骨側の部分と脛骨側の部分に分かれています。
大腿骨側の素材は、チタン合金またはコバルト・クロム合金といった金属が主流ですが、セラミックスを使用しているものもあります。
一方、脛骨側は2層構造になっており、大腿骨と接する側は、関節軟骨と半月板の代わりになる超高分子量ポリエチレン製、脛骨に取りつける側は金属製です。
弾力性のある超高分子量ポリエチレンが間に入ることで、膝のクッション性が保たれます。
全置換術は、大腿骨を先に切る方法と、脛骨の傷んだ部分を水平に切り取ってから、大腿骨の傷んだ部分を人工関節の形に合わせて切り取る方法があります。
どちらの方法でも、仮の部品でサイズや動きを確認してから、実際の人工膝関節を取り付けて固定します。
手術に要する時間は1~2時間ほどです。
術後はO脚などの変形が改善して、膝が安定します。
ただし、膝の曲がる角度が手術前と同程度か、それよりも制限されるため、多くの場合、正座はできなくなります。
また、膝をねじる運動を避ける、転ばないようにするなどの注意も必要です。
痛みが取れるまでには、数週間から数か月かかります。

関節の一部だけを置き換える部分置換術

単顆片側置換術
単顆片側置換術

引用元;八木貴史(2014). ひざの痛み 変形性ひざ関節症 主婦の友社

膝蓋骨コンポーネントも入れる場合
膝蓋骨コンポーネントも入れる場合

引用元;八木貴史(2014). ひざの痛み 変形性ひざ関節症 主婦の友社

同じ変形性膝関節症でも、O脚の人は膝の内側、X脚の人は膝の外側の軟骨がすり減ります。
外側か内側のどちらかだけに病変がとどまり、骨の変形が少なく、靭帯に損傷がない場合は、傷んだ側だけを人工関節に置き換える単顆片側置換術(部分置換術)を行います。
全置換術と異なり、関節内で大腿骨と脛骨をつないでいる十字靭帯を切除せずにすむため、体への負担が少なく、術後の膝の安定性が高いというメリットがあります。

人工関節の耐用年数は20~25年程度

人工膝関節の研究は130年以上前から行われてきました。
1970年代に、現在の人工膝関節の原型となるものがつくりだされ、以後、材質や可動域、固定法などが大きく進歩しています。
耐用年数(人工膝関節の寿命)も伸びましたが、一般的には20~25年といわれています。
そのため、あまり若いうちに人工膝関節にすると、新しい人工膝関節に入れ替える再置換術や、ゆるみを治す手術が必要になることがあります。
これらをできるだけ避けるためには、最初に人工膝関節置換術を実施するタイミングを慎重に検討することと、術後は人工膝関節の寿命を伸ばすセルフケアを行うことが重要です。
変形性膝関節症は片側だけでなく両側に起こることが多いため、左右とも人工膝関節にする人も少なくありません。
左右の手術時期をずらす方法と、同時に行う方法があり、最近は左右同時に実施する病院が増えています。
同時に行うほうが、入院やリハビリの期間を全体的に短くすることができ、患者さんの負担を減らせるという考え方です。
日本で1年間に行われる人工関節の手術は、全体で20万件以上にのぼります。
そのうち膝は、全置換術、単顆片側置換術を合わせて6~7万件で、10年前の約2倍です。
高齢化に伴い、人工関節の手術は、今後さらに増えると予測され、アジア人の膝や股関節に合う人工関節の開発も進んでいます。

術後のリハビリテーション

膝の可動域を広げる運動

膝の手術後のリハビリは、膝の曲げ伸ばし出来る範囲(可動域)を広げる運動と歩行練習を中心に段階的に進めていきます。
病院によってリハビリのスケジュールは多少異なりますが、一例を紹介します。
関節鏡下手術の場合は、痛みの強さに応じて、術後1日目から両松葉杖または片松葉杖で歩行でき、荷重の制限もありません。
膝の曲げ伸ばしの運動は、CPMという器機を使って、術後2日目からはじめます。
曲げる角度は、60度から徐々に深くしていき、術後10日までに135度を目指します。
順調に回復すれば、術後7~10日目には退院できます。
高位脛骨骨切り術は、術後2日目から、体重をかけずに平行棒内で歩行練習をはじめます。
その後、術後7日目から体重の3分の1荷重(両松葉杖歩行)、術後14日目から体重の3分の2荷重(片松葉杖歩行)と、少しずつ体重をかけていき、術後3週間目から全体重をかけて歩く練習をします。
CPMによる曲げ伸ばし運動は、関節鏡下手術と同じく術後2日目からはじめますが、曲げる角度は40度から少しずつ増やし、2週間程度かけて135度を目指します。
退院は、自分の力だけで安定して歩けるようになってからなので、術後4~6週間が目安です。

人工膝関節置換術は術後の翌日から歩行練習していきます

人工膝関節置換術も、術後1日目から歩行練習をはじめます。
術後5日目までは平行棒内の歩行ですが、荷重制限はなく、術後6日目には、痛みの程度に合わせて、歩行器または1本杖で歩く練習へと移行します。
CPMによる膝の曲げ伸ばし運動は、術後2日目から40度ではじめ、術後10日目で120度を目指します。
退院の目安は4週間程度です。
リハビリは、膝の回復具合などをみながら、患者さん一人一人に合わせて進めていきます。

関節鏡下手術後のリハビリの進め方(一例)と日常生活復帰の目安

手術当日:寒冷療法(アイシング)…手術した膝を冷やして、出血を抑え腫れを鎮めます。歩行はできず、ベッドの上で安静です。
術後1日目:痛みに合わせて両松葉杖または片松葉杖で歩行できます。
術後2日目:持続的関節他運動器(CPM)で、膝の曲げ伸ばし運動(0度から60度の角度で膝を曲げ伸ばし)を開始。松葉杖なしで歩行可能。
術後5日目:CPMによる膝の曲げ伸ばし運動(0度から90度の角度で膝を曲げ伸ばし)。松葉杖なしで歩行可能。
術後8日目:CPMによる膝の曲げ伸ばし運動(0度から120度の角度で膝を曲げ伸ばし)。松葉杖なしで歩行可能。
術後10日目:CPMによる膝の曲げ伸ばし運動(0度から135度の角度で膝を曲げ伸ばし)。松葉杖なしで歩行可能。
退院の目安:術後7~10日目を目標に退院。
活動の目安:退院後から公共交通機関の利用ができます。
スポーツ復帰の目安:術後1~2ケ月でジョギング・自転車が可能。術後2~3ケ月でスポーツ復帰・深屈曲が可能。

変形性膝関節症の検査と診断について

変形性膝関節症の検査と診断について

診察から治療までの流れ

問診、視診、触診、・理学的検査
必要な画像検査を判断
・単純X線検査などの画像検査
・血液検査、尿検査(※関節リウマチ、痛風・偽痛風の有無がわかる)
・関節液検査(※関節液を採取し、炎症や感染、出血の有無を調べる)
ここまでの検査により、「原因疾患なし」、「原因疾患あり」、「変形性膝関節症ではない」が分かります。
変形性膝関節症の診断は、患者さんの自覚症状と、膝の客観的な状態を総合的に判断して行います。
まず、問診で患者さんの自覚症状や生活背景を聞き取り、次に、脚の形や歩き方などを見る視診、実際に触って膝の動きや痛む場所などを確認する触診・理学的検査へと診察を進めていきます。
変形性膝関節症の重要な診断材料となる関節の骨と骨の隙間は、単純X線検査でわかります。
より詳しい診断情報が必要なときは、MRI(磁気共鳴画像)検査やCT(コンピュータ断層撮影法)検査も行います。
血液検査や尿検査は、関節リウマチや痛風・偽痛風の有無を調べるために行います。
また、関節液を採取して調べる関節液検査を行うこともあります。
関節液からは、炎症の有無、感染の有無、出血の有無などがわかります。
変形性膝関節症の診断は、特別難しいものではありませんが、原因疾患がある二次性か、原因疾患がない一次性かを見極めることが重要です。
変形性膝関節症の治療だけでなく、原因疾患の治療も行う必要があるからです。
同じ変形性膝関節症でも、原因となる病気(原因疾患)がはっきりしている二次性のものと、原因疾患が特にない一次性のものとでは、治療法が全く異なります。
様々な診察や検査を行うのは、痛みの原因が変形性膝関節症だと明らかにするとともに、一次性か二次性かを見極めるためです。
二次性の原因疾患としては、関節リウマチ、痛風・偽痛風、半月板損傷、靭帯損傷、化膿性関節炎、大腿骨顆部の特発性骨壊死などがあります。
問診や視診、触診、・理学的検査、各種の画像検査、血液検査・尿検査、関節液検査などを行うことによって、これらの病気の有無がわかります。

原因疾患なしの場合

診断は一次性変形性膝関節症
変形性膝関節症の治療を行います。

原因疾患なしの場合

診断は二次性変形性膝関節症
病因疾患の治療+変形性膝関節症の治療(例えば、関節リウマチのために変形性膝関節症が起こっている場合、関節リウマチの治療と変形性膝関節症の治療を行う)を行います。

変形性膝関節症ではない場合

診断は関節リウマチ、痛風、偽痛風、半月板損傷、靭帯損傷、化膿性関節炎など
病気に応じた治療を行います。

問診→視診→触診→理学的検査

画像検査や血液検査の前に、患者さんの話や膝の状態から痛みの原因を推測します。
問診→視診→触診→理学的検査は、正しい診断を導き出すために行っていきます。

問診について

問診で大切なことは、患者さんがどのような症状で苦しみ、何に困っているかを、医師が把握することです。
問診の前に、できるだけ症状を整理してメモ書きにしておくと、医師との会話の際に役立ちます。
生活背景は、今の生活だけでなく、職歴やスポーツ歴、骨折や脱臼、半月板損傷や靭帯損傷など膝の怪我や、関節炎など病気の既往も聞かれます。
また、家族歴として、血縁者に変形性膝関節症、関節リウマチ、痛風などの病気をもつ人がいるかどうかも確認されます。
病院で記入を求められる問診票には、心臓病や糖尿病などの病気の有無や、現在治療中の病気について尋ねられる項目があります。
患者さんの健康状態を総合的に判断するための必要な情報になりますので、問診票で尋ねられる項目は、しっかりお答えしましょう。

視診について

O脚やX脚の人は変形性膝関節症になりやすく、病気の進行にしたがってO脚やX脚が悪化します。
また、膝がまっすぐ伸びない、歩幅が狭くなった、膝がぐらついて不安定な歩き方をするなども、変形性膝関節症の特徴です。
脚の形や歩き方を見ることによって、膝に関する様々な情報が得られます。
診察を受けるときには、いつも履いている靴を履いていき、普段の歩き方を見てもらいましょう。

触診・理学的検査について

医師が実際に膝を触ったり、動かしたりして膝の状態を詳しく調べます。
・腫れや熱っぽさの有無
・水がたまっているかどうか
・膝を動かしたときの異常な音
・膝の可動域
・膝のぐらつきや筋力低以下の有無
・痛む場所
などを確認していき、特に、押して痛いところがないかどうか確認する診察は重要です。
膝の靭帯や筋肉の痛んでいる場所が分かると、診断の助けになります。

画像検査で診断を確定します

膝の状態を客観的に調べるのが画像検査です。
大腿骨と脛骨の隙間や、大腿骨と膝蓋骨の隙間の状態、骨棘や骨のう胞の有無などが分かります。

単純X線検査は必ず行う

変形性膝関節症の診断で単純X線検査は必ず行います。

単純X線検査で分かる変形性膝関節症のグレード0
グレード0は、正常な状態です。
関節の隙間が十分にあり整っています。
単純X線検査で分かる変形性膝関節症のグレード0

引用元;サイト名:変形性膝関節症の保存療法と運動療法(有酸素運動)|パシフィックニュース(Pacific News) | パシフィックサプライ株式会社

単純X線検査で分かる変形性膝関節症のグレード1
骨棘や骨のう胞、骨の硬化が見られます。
単純X線検査で分かる変形性膝関節症のグレード1

引用元;サイト名:変形性膝関節症の保存療法と運動療法(有酸素運動)|パシフィックニュース(Pacific News) | パシフィックサプライ株式会社

単純X線検査で分かる変形性膝関節症のグレード2
関節の隙間が狭くなっている(2分の1以下)
単純X線検査で分かる変形性膝関節症のグレード2

引用元;サイト名:変形性膝関節症の保存療法と運動療法(有酸素運動)|パシフィックニュース(Pacific News) | パシフィックサプライ株式会社

単純X線検査で分かる変形性膝関節症のグレード3
関節の隙間がさらに狭くなっている(2分の1以上)
単純X線検査で分かる変形性膝関節症のグレード3

引用元;サイト名:変形性膝関節症の保存療法と運動療法(有酸素運動)|パシフィックニュース(Pacific News) | パシフィックサプライ株式会社

単純X線検査で分かる変形性膝関節症のグレード4
関節の隙間が消えている。
単純X線検査で分かる変形性膝関節症のグレード4

引用元;サイト名:変形性膝関節症の保存療法と運動療法(有酸素運動)|パシフィックニュース(Pacific News) | パシフィックサプライ株式会社

正面や側面から膝を撮影し、膝の関節(大腿脛骨関節、膝蓋大腿関節)の状態を調べます。
骨と骨の隙間の空き具合や骨棘や骨のう胞の有無を確認することが目的です。
問診、視診、触診・理学的検査、血液検査や尿検査の結果に加え、単純X線検査の所見で、変形性膝関節症が明らかなら診断が確定します。
単純X線検査の画像からは、進行の程度も分かりますが、病期と症状の重症度は、必ずしも一致しません。
病期が進んでいるのに、痛みなどの症状がそれほど無いこともあれば、有ることもあります。
単純X線検査で判断するグレードは、自覚症状などから判断する初期・中期・末期とは、必ずしも一致しません。
画像検査では進行していても、自覚症状があまり強くない場合や、その逆の場合もあります。

MRIやCTなどの精密検査を行うこともある

MRI検査は、関節軟骨や半月板、靭帯、滑膜なども映し出すことができます。
半月板損傷や靭帯損傷の有無、大腿骨顆部骨壊死の有無を調べたいときや、手術の前に、軟骨の状態も含めた詳細な情報が欲しいときに行います。
CT検査は、骨の状態を詳しく知ることのできる検査です。
骨棘や骨のう胞といった骨の変形、骨粗鬆症など骨の質の異常などを詳しく調べることができます。

変形性膝関節症は進行性の病気です

膝の軟骨は、少しずつすり減り、3~6ケ月くらいの周期で、一時的に症状が軽くなる時期があることから、進行に気づきにくいのですが、一度すり減った軟骨が自然に回復することは難しく、放置すれば、ますますすり減っていきます。
変形性膝関節症の進行をできるだけ抑えるためには、生活改善や体重コントロール、運動療法などを行って、膝の負担を軽くすることが何よりも効果的です。
痛みがある場合、痛み止めの内服やヒアルロン酸やステロイド薬の関節注射で痛みをコントロールしながら運動療法などを行います。

病院や医師の選び方

手術件数や専門医の資格、さらには医師の容貌までも簡単に調べられるので、情報がありすぎて迷うほどですが、医療機関を選ぶ時の第一のポイントは、自宅から無理なく通えるかどうかです。
ただし、自宅から近いといって、いきなり大学病院に行くのは、何かと時間がかかってしまうので、得策は言えません。
変形性膝関節症の場合、初診では、まず問診、次に触診などの診察を行い、X線検査後、その結果を説明され、治療を行うというのが一般的な流れになります。
知っておきたいのは、1回の受診で治ることはまれであり、最低でも一か月間は治療を続けないと、効果は判断できないということです。
一か月通院しても全く改善しない時には、医師に正直に伝え、次の手を考えてもらい、それでもうまくいかなければ、別の医療機関の受診を検討してもよいでしょう。

良医に出会うためのチェックポイント

医師も一人の人間で、相性もあるため一概には言えませんが、次のような場合は、別の医師や医療機関への変更を考えるべきかもしれません。
①不潔
②服装がだらしない(白衣が汚れている、柄物のTシャツが白衣から透けているなど)
③説明が分かりにくい
④質問すると嫌な顔をする
⑤初診時から強く手術をすすめる
⑥効果の得られない治療を続ける
⑦なんとなく好きになれない
①②は言うまでもないことですが、③は、患者側の立場で物事を考えられない可能性があります。
④は、診療時間に限りがあるため、患者側にも配慮が必要ですが、質問に分かりやすく答えることは、医師に求められる能力の一つです。
⑤は、変形性膝関節症で手術になるのは、一般的に10人に1人です。
多くは、保存療法を続けていくので、いわゆるゴッドハンドの名医より、長く付き合える良医に出会うことが大切です。
したがって、⑥や⑦も見逃せません。
良医とは、人間性とプロ意識を持った医師のことです。

セカンドオピニオンについて

手術をすすめられて、セカンドオピニオンを聞きたいと思ったら、素直に相談しましょう。
快く紹介状や検査データを用意する医師なら、誠実な人柄だと考えられます。
執刀医についても①~⑦を確認しましょう。

変形性膝関節症の原因を分かりやすく説明しているサイトです

変形性膝関節症の原因を分かりやすく説明しているサイトです

変形性膝関節症になりやすい人とは?

変形性膝関節症の有病率
変形性膝関節症の有病率

引用元;サイト名:JR東京総合病院 | 健康教室のご案内 | 中高齢者の膝痛教室(膝教室)

女性は50歳代半ば、男性は60歳代半ばから変形性膝関節症が急増します。
患者の数は、女性のほうが男性より3倍くらい多いです。
変形性膝関節症は、中高年以降の女性が特に注意すべき病気です。
女性に多い理由は、男性に比べて関節が小さく、ハイヒールを履くこと、正座や女性座り(横座り)すること、家事のためにしゃがむ機会が多いことや、閉経による女性ホルモンの減少などが影響すると考えられています。

変形性膝関節症になりやすい職業とは?

立ったり座ったりする職業、階段を頻繁に上り下りする職業など、膝に負担のかかるお仕事をしている方に、変形性膝関節症が多く見られます。
また、激しいスポーツで膝を酷使した人も要注意です。
肥満の方も要注意です。
長年の膝への負担とは別に、何らかの病気や怪我が原因で変形性膝関節症が起こることもあります。
例えば、関節リウマチや感染性関節炎んど、関節に炎症が起きる病気、若いころの膝の骨折や脱臼、靭帯の損傷、半月板損傷などです。
このように原因がはっきりしているものを二次性変形性膝関節症と言います。
病気や怪我とは無関係のものを一次性変形性膝関節症と言い、日本人に多いのは、この一次性です。
二次性変形性膝関節症の場合、元の病気や怪我をきちんと治療することが重要です。

変形性膝関節症は遺伝も影響するの?

軟骨が傷つきやすいという遺伝子の特徴をもつ人は、変形性膝関節症になる危険性が高く、他の関節の変形性膝関節症にもなりやすいことが分かっています。
また、ヘバーデン結節(手の指の第一関節に起こる変形性関節症。40歳以降の女性に多く、症状は第一関節の腫れと痛みですが、炎症が強いときは発熱・発赤も見られます。)のある人は、加齢とともに変形性膝関節症になりやすいと言われています。

変形性膝関節症の痛みは特徴があります

動かしはじめに痛い
歩きはじめや立ち上がる時に膝が痛むが、少し休んだり我慢しているうちに痛みはおさまるという症状が見られたら、変形性膝関節症の疑いがあります。
痛むのは、軟骨の破片が滑膜を刺激するためです。
O脚の人は膝の内側、X脚の人は膝の外側に痛みを感じることが多いですが、膝のお皿の周囲が痛んだり、膝の後ろ側に張りを感じることもあります。
階段の上り下りの時が痛い
階段の上り下りで膝が痛む症状は、中期の変形性膝関節症によくみられます。
最初は下りの時だけ痛かったものが、軟骨の摩耗が進むにつれて上りでも痛むようになります。
変形性膝関節症の痛みは、数か月単位で良くなったり悪くなったりと波があるのが特徴です。
一時的に良くなったからといって、治ることはありません。
進行していく病気なので、年単位でみれば確実に悪化していきます。
関節の内部は、関節液という粘り気のあり、糸を引くように伸びる液体で満たされています。
関節液が潤滑液となって、膝の動きをスムーズにしているのですが、関節軟骨や半月板がすり減り、けば立つと関節液が馴染むのに時間がかかるようになります。
関節液が馴染むのに時間がかかるようになるので、動かしはじめに摩擦が生じて、こわばりや痛みが出てしまいます。
動き出す前に、膝に負担がかからない椅子に腰かけたまま行う準備運動をすると、痛みが和らぎます。
変形性膝関節症の人の関節液は、粘り気はあっても糸を引く力が弱いので、ヒアルロン酸製剤の関節内注射で糸を引く力を足します。

O脚の人にみられる痛み

膝の内側が痛い

X脚の人にみられる痛み

膝の外側が痛い

膝のお皿周りにみられる痛み

膝のお皿周りが痛い

膝の後ろ側にみられる痛み

膝の後ろ側が痛い

変形性膝関節症の痛み以外にも注意することがあります

変形性膝関節症の痛み以外の症状

最初~初期にみられる症状について

まず、最初に、膝周辺の筋肉や筋が張りやすくなったりします。
よく歩いた日の夜や翌日、膝の後ろ側などが張りますが、膝を休めれば徐々に回復します。
そして、変形性膝関節症で初期に自覚する症状は、下記の2つが多いです。
1.朝起きた時や、長時間座っていた直後に、膝を動かしたら、なんとなく膝が重たく、スムーズに動かないという違和感。
2.膝が固くなり、動かしにくいこわばり。
軟骨がすり減って毛羽立つと、関節の潤滑液である関節液が軟骨になじみにくくなるため、このような症状があらわれますが、動いているうちに関節液がなじみ、違和感やこわばりは数分で消えます。

中期にみられる症状について

軟骨の毛羽立ちが強くなり、剥がれた破片が関節の隙間に挟まると、膝を曲げ伸ばしした時、ガリガリという音が聞こえます。
また、炎症のために関節液が大量に分泌されるようになると、膝に水がたまった状態になり、膝が腫れて重だるく、熱っぽく感じます。
炎症を繰り返すうちに、滑膜は固くなって厚みを増し、柔軟性が低下していきます。
痛みのために膝を動かさないと、筋肉や靭帯の柔軟性が失われ、炎症の慢性化によって周囲の組織との癒着も進み、膝を十分に伸ばしたり曲げたりできない拘縮状態(関節の動きが制限された状態)になります。
拘縮は、徐々に進みますが、症状が軽いうちは、膝を伸ばしきれないことに気づかない人が少なくありません。
膝は、わずかに曲げた状態でも日常生活に不自由がないため、気づきにくいのです。
さらに、骨棘(骨のトゲ)ができると、骨棘が邪魔して膝をまっすぐに伸ばせなくなったり、曲げ伸ばしするときに、引っかかるような感じがしたりします。
また、半月板がすり切れた状態になると、膝が伸びきらないだけでなく、歩いている時や階段の上り下りの時に、突然、膝がガクっと崩れたりします。
膝の軟骨や骨の変形が進み、O脚がひどくなるのも、この時期です。

末期にみられる症状について

拘縮が強くなる末期には、自力で歩けない、立ち上がれないなどの機能障害が目立ってきます。
また、体を動かさなくなることによって、全身の筋力が衰えるだけでなく、肺や心臓の機能も低下していきます。

変形性股関節症の事も知っておきましょう

股関節は、膝の次に変形性股関節症になりやすい関節です。
患者は、国内におおよそ200~500万人いますが、圧倒的に女性が多く男性の5倍と言われています。
変形性股関節症は、股関節の軟骨がすり減る病気です。
症状は、股関節の違和感にはじまり、徐々に、歩行時の股関節痛が出てきます。
太もも(大腿部)、おしり、背中や腰に痛みがおよぶこともあります。
脚を内側ひねった時や脚を組んだ時、股関節を深く曲げた時や、ぴんと伸ばそうとする時に痛みを感じます。
痛みのせいで、股関節の動かせる範囲(可動域制限)が狭くなることも特徴です。
また、痛みや筋力低下のために、跛行(病気や怪我のために正常な歩行ができないこと)があらわれることもあります。
軟骨の摩耗や骨の変形が進んだ進行期には、痛みのために歩行が困難となり、日常生活全般に不自由を感じるようになりますが、末期では、むしろ痛みが軽くなる傾向がみられます。

変形性股関節症が女性に多いのは、股関節の形に異常がある人が多いから

股関節の構造
股関節の構造

引用元;サイト名:股関節の仕組みと働き | 人工股関節全置換術サポートサイト THAケアネット

股関節は、大腿骨側の球状の骨(大腿骨頭)と、骨盤側にあるお椀状の寛骨臼(臼蓋)からできています。
大腿骨頭と寛骨臼には、それぞれ関節軟骨があり、間接的は関節液で満たされています。
寛骨臼は、大腿骨頭の屋根のようなもので、普通は大腿骨頭の3分の2程度を覆っていますが、生まれつき屋根の面積が狭い人がいます。
生まれつき寛骨臼の面積が狭いことを臼蓋形成不全といい、変形性股関節症の人の80%に見られます。
臼蓋形成不全があると、寛骨臼と大腿骨頭が接する面積が小さく、狭い範囲に負担がかかります。
そのため、関節軟骨がすり減りやすいのです。
臼蓋形成不全は女児に多いことから、変形性股関節症も女性に多く、40~50代から発症する人が増えます。
もともとの形の異常に加え、軟骨がすり減って、関節の隙間が狭くなったことによって、変形性股関節症のある側の足が健康な側の足よりも数cm程度、短くなる傾向があります。
これも跛行の一因となります。

股関節の動きをよくするストレッチ

変形性股関節症が進行するに従って、痛みだけでなく関節周囲の筋肉や靭帯などの組織が固くなるなどして、股関節が十分に伸びなくなるといった症状があらわれてきます。
関節の変形や痛みがあると、姿勢や歩き方が不自然になります。
初期に特徴的なのは、骨盤を前傾させる姿勢は、痛みをかばうためのもので、股関節の動きをいっそう悪くし、股関節を支える筋肉を衰えさせます。
股関節を支えるお尻の筋肉(中殿筋や小殿筋)が落ちると、腰が左右に大きく揺れる歩き方をするようになります。
このような症状を改善するために、まず、股関節周辺の筋肉や組織を柔軟にしておくことが有効です。
適切なストレッチを行うと、筋肉や組織の緊張がゆるみ、徐々に柔軟性を回復させることができます。

生活改善や体重コントロールで股関節の負担を減らす

変形性股関節症の治療は、変形性膝関節症と同じく保存療法と手術療法になります。
保存療法は、生活改善、体重コントロール、運動療法、物理療法、装具療法、薬物療法があり、その人の病気や病状、生活背景などを考慮して、いくつかを組み合わせて行います。
保存療法で、特に重要なのは、生活の洋式化、長距離歩行の禁止、杖の使用、運動療法による筋力向上、そして、体重コントロールです。
つまり、股関節にかかる負担を少なくしながらも、活動量を減らさないことが大切です。
保存療法を3~6カ月間行っても、痛みのために日常生活に支障がある場合などに、手術療法を検討します。

手術は自分の骨を使う方法と人工関節があります

手術は、自分の骨を使う方法と、人工関節に置き換える方法があり、患者さん一人一人の個別性をもとに手術法を選択します。
手術法を決めるポイントとして、下記4項目があります。
1つ目:年齢…一般的に、若い人は自分の骨を使う手術、高齢者には人工関節を検討する
2つ目:性別…女性が多いので、結婚、妊娠、育児について考慮する
3つ目:片側か両側か…手術は症状の思い方から行う
4つ目:他の関節の状態…膝や腰椎などが悪い場合は、術後の体重のかかり方なども考える
他にも、患者さんの生活環境や職業、人生で大切にしていることなどを考慮し、本人と家族、医師が十分に話し合って決めることが大切です。
人工股関節全置換術は、人工膝関節置換術と比べ、早く痛みが改善する傾向があります。
ただし、脱臼などの合併症の発生率に、術者の習熟度が影響を与える度合いが、膝に比べて大きいとされています。

変形性膝関節症とは

変形性膝関節症とは

変形性膝関節症とは?

膝は、膝の骨の端を覆う関節軟骨と膝の骨と骨の隙間にある半月板という2つの軟骨で守られています。
関節軟骨は、適度な固さと弾力性があるため、摩擦に強く関節の動きをスムーズにしてくれます。
半月板は、弾力性があるため、関節軟骨や骨に伝わる振動を和らげ、膝関節を安定させてくれます。
何らかの原因で、関節軟骨や半月板がすり減ると、膝のなめらかな動きやクッション性、安定性が失われ、痛みなどが出てきます。
これが、変形性膝関節症という病気です。

軟骨(関節軟骨・半月板)がすり減る原因

肥満や膝に負担のかかるスポーツや仕事等による骨折や靭帯損傷、半月板損傷などのけ怪我が影響することがあります。
そして、歳を重ねていきますと、軟骨細胞の新陳代謝が衰え、軟骨が薄くなったり、傷つきやすくなったりします。
軟骨は時間をかけてすり減っていくので気付きにくいですが、だんだん痛みが出てきます。
歩きはじめや立ち上がる時に痛みが出て、少し時間をおくと痛みがなくなるというのが初期症状です。
少し時間をおくと痛みがなくなるからといって放っておくと、軟骨はますます薄くなり、骨に骨棘(こつきょく)というトゲのようなものができたり、骨嚢胞(こつのうほう)という骨髄が空洞化してしまったりもします。
軟骨がすり切れ、無くなってしまうと、骨同士が直接ぶつかってしまいます。
変形性膝関節症の進行とともに、O脚やX脚も強くなり、外見的な変化も出てきます。

変形性膝関節症で、なぜ膝が痛くなるのか?

初期症状の痛みは、運動をした後や運動をした翌日に出てきます。
関節を包む関節包や、膝の靭帯や筋肉に過度な負担がかかったため痛みが出てきているので、膝を休ませれば治ります。
初期症状から少し進行すると、変形性膝関節症特有の膝を動かしはじめた時に痛みが出ます。
これは、炎症によるもので、削り取られた軟骨の破片が関節の内側を覆う滑膜を刺激すため、炎症が起こります。
滑膜に炎症が起こると、多量の関節液が分泌されますが、分泌された関節液の中には炎症を悪化させる物質も含まれています。
放っておくと、さらに炎症が進み、膝を曲げ伸ばしするたびに痛むようになり、歩いたり正座で座ったりするのが辛くなります。
軟骨が失われた末期には、立っているだけでも痛く、やがては安静にしている時や寝ている時でも痛むようになります。

変形性膝関節症の痛みをひき起こす炎症とは?

変形性膝関節症の痛みには、炎症が強くかかわっています。
炎症には急性と慢性があり、慢性化すると、滑膜の変形や癒着も起こります。

炎症が起きているのは膝関節の内側を覆う滑膜

軟骨には神経や血管、リンパ管がないので、軟骨自体に痛みや炎症が生じることはありません。
変形性膝関節症で起こる痛みは、滑膜の炎症によるものが多いです。
炎症は、体を守るための免疫反応の一部で、体が有害な刺激を受けたときに起こります。
本来は、傷ついた組織を修復し、ものに戻すための反応ですが、悪い影響もあります。
炎症を起こした滑膜からは、大量の関節液が分泌されます。
その関節液に含まれるサイトカインという物質には、炎症を悪化させる作用があるため痛みなどの症状が強くなります。

炎症に特徴的な5つの症状

炎症には、5つの特徴的な症状があります。
①発赤…血管が広がって充血する
②腫れ…血管からサイトカインや白血球などを含む水分(関節液)があふれ出る
③痛み…腫れにより周辺の組織が圧迫されて痛む
④発熱…血管が広がって充血することにより熱が出る
⑤機能障害…腫れや痛み、癒着などにより機能的な障害が出る
膝の発赤はあまり目立たないこともありますが、腫れや痛み、熱っぽさ、機能障害(膝の曲げ伸ばしがしにくくなる、歩行がつらくなるなど)は、自覚症状として多く見られます。

急性から慢性へ症状が重くなる

初期の炎症は、短期間で治まる急性炎症ですが、炎症が続くと慢性化します。
慢性炎症は、滑膜の肥厚(滑膜が分厚くなる)や、滑膜と関節軟骨の癒着を招き、膝を動かしにくくなるといった機能障害へつつながります。
痛みや癒着などのために膝を動かせなくなれば、筋力が衰え、関節が固まる(拘縮)も起こって、日常生活がままならないほど症状が悪化してしまいます。

すり減った軟骨が自然に再び増えることは難しい

軟骨には血管がないため、一度傷ついてしまうと、自然に再生することはなかなかできません。
特に、半月板は、裂けたり、すり減ったりした状態が改善することはありません。
なので、過去に半月板損傷を経験した人は、変形性膝関節症になりやすいのです。
関節軟骨については、骨に達するほど深く傷ついた場合に、骨の中心にある骨髄細胞の働きで、一部が再生に向かうこともありますが、完全に修復されるわけではありません(後に詳しく書きます)。
初期や中期の変形性膝関節症なら、保存療法(後に詳しく書きます)を行って、症状を抑え、軟骨の損傷ができるだけ進まないようにすることができます。
手術療法は、自分の関節を残す方法を選択できます(後に詳しく書きます)。
軟骨がなくなってしまった末期の場合、人工関節にするかどうかを検討します(後に詳しく書きます)。

膝に変形性関節症が起こりやすいのは?

変形性関節症が起こりやすい関節
変形性関節症になりやすいのは、首、肩、肘、手の指、背骨(脊椎)、股関節、膝、足の指の関節です。
中でも、体を支えるのに大きな力がかかる腰部の背骨関節、股関節、膝関節は、変形性関節症になりやすいです。
膝関節には、歩くときで体重の約2~3倍、走るときで約5~7倍、階段の上り下りで約3~5倍と、とても大きな負担がかかるのです。
そのため、変形性関節症のなかでも変形性膝関節症がもっとも多いと言われています。
O脚の人は膝関節の内側、X脚の人は膝関節の外側に、より多くの負担がかかります。
日本人はO脚の人が多いため、膝関節の内側の軟骨がすり減る変形性膝関節症が大半です。
また、変形性膝関節症は、加齢とともになりやすく、50歳を越えると徐々に症状が出てきだし、80歳以上になると、ほとんどの人に変形性膝関節症が見られます。

加齢とともに変形性膝関節症が増えるのは?

関節軟骨は、70~80%の水分とコラーゲン、プロテオグリカンなどからできています。
これらの物質は、加齢によって減少していきますが、減少していく理由は、はっきり分かっていません。
しかし、最近の研究で、過剰な力がかかるなど、外部からの刺激に対して、関節軟骨が下記のような反応を繰り返しているうちに、関節の隙間が狭くなり、骨棘と呼ばれる骨のトゲができて、変形性膝関節症が進行していくことが明らかになっています。
●関節軟骨の組織が壊れてすり減る
●関節軟骨の弾力性が低下する
●関節軟骨の性質が変わる

変形性膝関節症を治療する目的は?

変形性膝関節症を治療する目的は、痛みをとること、膝の動きを改善して膝の機能を高めることです。
変形性膝関節症が中期までは、膝の負担を減らすことが治療の基本になります。
膝の負担を減らすための療法として、これら7つが挙げられます。
①生活改善:膝への負担が少ない生活習慣に切り替える
②体重改善:肥満の方は体重を減らし膝への負担を減らす
③運動療法:膝のストレッチ、筋肉トレーニング、全身の有酸素運動を行う
④物理療法:膝を温めたり、冷やしたりして症状を和らげる
⑤装具療法:足底板やサポーターで膝の負担を減らす
⑥薬物療法:例えば、関節痛や神経痛に効くリョウシンJV錠などの薬で痛みを和らげたり、炎症を抑えたりする
⑦関節注射:ヒアルロン酸やステロイド薬を関節に直接注入し、症状を鎮める
これら7つの療法は、変形性膝関節症を予防し、進行を抑えるためにやっておくべきケアであり、特に、初期や中期の症状の方には大きな効果が見込めます。
各々の症状や生活習慣を考慮して、複数を組み合わて行うのがよいです。
これら7つの療法で改善しない場合には、手術療法を検討していきます。
関節の変形がどのような状態なのか、また、どの程度進行しているかによって、手術の方法は変わってきます。
手術療法は、これら3つが挙げられます。
①関節鏡下手術:軟骨の形を整えるために、軟骨の傷ついた部分を削る手術(中期までが対象)
②高位脛骨骨切り術:O脚を矯正する手術(中期までが対象)
③人工膝関節置換術:人工関節に置き換える手術(末期が対象)
初期や中期の症状の方は、膝の負担を減らすための7つの療法を3~6ケ月行いましょう。
膝の負担を減らすための7つの療法を3~6ケ月行っても症状が改善しないときは、手術療法が治療の選択枠に加えられます。
変形性膝関節症の末期で、日常生活もままならないほど膝の痛みが強く、画像検査でも関節の変形が重度の場合は、人工関節置換術を検討します。

整形外科を受診することが望ましい症状は?

変形性膝関節症は、早めに対処することが大切ですので、膝に異常を感じたら、早めに整形外科で受診しましょう。
初期や中期のうちに何かしらの療法をはじめれば、病気の進行を遅らせることができます。
次のような症状が1つでも当てはまる場合、変形性膝関節症の可能性が高いので、強い痛みがなくても、一度、整形外科で受診してください。
●膝のこわばり、違和感(特に、朝起きた時に強く感じる
●長時間歩いた後に痛む
●膝を曲げ伸ばしする時に。引っかかる感じがする
●歩きはじめや立ち上がる時など、動かしはじめに膝が痛い
●以前よりO脚がひどくなっている
また、次のような症状が1つでも当てはまる場合、整形外科の専門的な診察と治療が必要です。
●膝が熱っぽい
●膝が腫れている
●痛みのために歩行や階段の上り下り、正座がつらい
歩行や階段の上り下りの時、膝くずれを起こす
●安静にしているとき、寝ているときも痛む
●膝がまっすぐ伸びない
●膝がしっかり曲がらない
膝の痛みがあるのに、年のせいだからといって、あきらめている人がいます。
しかし、そのまま放っておけば、ますます悪化し強い痛みや関節の変形により、寝たきりになることがあります。