膝の仕組み・役割・動き・病気について

膝の仕組みについて

膝を正面から見ると
膝の仕組み 正面

引用元;八木貴史(2014). ひざの痛み 変形性ひざ関節症 主婦の友社

膝を横から見ると
膝の仕組み 横

引用元;八木貴史(2014). ひざの痛み 変形性ひざ関節症 主婦の友社

膝は、大腿脛骨関節(だいたいけいこつかんせつ)と膝蓋大腿関節(しつがいだいたいかんせつ)の2つの関節で成り立っています。
大腿脛骨関節(だいたいけいこつかんせつ)とは、太ももの骨・大腿骨(だいたいこつ)、すねの骨・脛骨(けいこつ)が連結する関節の事を言います。
膝蓋大腿関節(しつがいだいたいかんせつ)とは、太ももの骨・大腿骨(だいたいこつ)、膝の皿・膝蓋骨(しつがいこつ)が連結する関節の事を言います。
また、膝の骨は、下記4つです。
●太ももの骨・大腿骨(だいたいこつ)
●すねの骨・脛骨(けいこつ)
●脛骨の外側にある骨・腓骨(ひこつ)
●膝の皿・膝蓋骨(しつがいこつ)
骨同士が接する面は、関節軟骨で覆われているので、大腿脛骨関節にも膝蓋大腿関節にも変形性膝関節症が起こる可能性はあります。
しかし、一般的には、変形性膝関節症といえば、大腿脛骨関節に起きたものを言います。
膝蓋大腿関節に起きたものは、膝蓋大腿関節症と呼びます。
大腿脛骨関節には、より大きな負担がかかるため、関節軟骨に加えて半月板という板状の軟骨も衝撃吸収を手伝っていますが、生活に支障をきたすほど症状が進むのは、ほとんどの場合、大腿脛骨関節です。
膝の関節は、骨同士が接する面積があまり広くありません。
同じ荷重関節でも、股関節は骨の接する面積が広くなっています。
不安定な膝を支えているのは、骨ではなく、靭帯や筋肉なのです。

膝の靭帯と筋肉の働きとは?

靭帯は、骨と骨をつなぐ役目をしており、強靭で伸縮性があって、骨同士をしっかり固定し、筋肉と連動して膝の動きをコントロールしています。
大腿骨と脛骨は、2本の靭帯が交差する十字靭帯と内側側副靭帯とでつながれています。
十字靭帯は、膝の前後の動きや、膝を回す動きを支えます。
側副靭帯は、膝の左右の動きを支えて、膝を安定させています。
膝のお皿(膝蓋骨)を支えているのは、膝蓋靭帯です。
膝を動かす筋肉は、主に、太ももの筋肉ですが、太ももの筋肉は、全身の筋肉の中でも最も大きな筋肉になります。
運動療法では、太ももの筋肉を鍛えて、関節を支える力を向上させ、膝の痛みの軽減を目指します。

関節液の働きとは?

関節は関節包という膜で包まれていて、関節包の内部は関節液で満たされています。
関節液は、関節包の内部にある滑膜から分泌されます。
関節液には、水とヒアルロン酸とう主成分の他に、軟骨に供給するための酸素や栄養も含まれています。
膝を曲げ伸ばしすると、酸素や栄養が軟骨に吸収されていく仕組みになっています。
軟骨は、関節液から酸素や栄養を十分に吸収できるようにスポンジのような構造になっています。

膝の役割について

膝が体の中で一番体重がのしかかる関節です。
膝は、体の重みを受け止めて、体を支える支持性の他にも、可動性、無痛性という役割があります。

体を支える支持性とは?

膝の大腿脛骨関節には、歩いている時、体重の2~3倍の荷重が膝にかかります。
体重50kgの人だと、100kg~150kgの荷重が膝にかかります。
走っている時は、体重の5~7倍の荷重が膝にかかります。
体重50kgの人だと、250kg~350kgの荷重が膝にかかります。
膝のもう一つの関節で膝蓋大腿関節には、歩いている時、体重の約半分の荷重が膝にかかります。
体重50kgの人だと、25kgの荷重が膝にかかります。
走っている時や階段を上り下りする時は、歩いている時の約7倍の荷重が膝にかかります。
体重50kgの人だと、175kgの荷重が膝にかかります。
どんな動作の時でも、体を支えてくれることを支持性と言います

膝を曲げ伸ばしする可動性とは?

膝を自在に曲げ伸ばしする可動性のお陰で、膝を曲げ伸ばしすることで、様々な姿勢や動作をすることができます。
真っすぐに伸ばした状態の膝の角度を0度にすると、正座の時の角度は150~155度になります。
この角度の幅を膝の可動域と言います。
この可動域は、大腿四頭筋とハムストリングという筋肉の働きによって決まります。
膝を伸ばす時には、大腿四頭筋が縮んでハムストリングが伸び、膝を曲げる時は大腿四頭筋が伸びてハムストリングが縮みます。
変形性膝関節症で、膝が伸びきらなくなったり、正座ができなくなったりするのは、痛みや骨棘によるだけでなく、筋肉の衰えも大きく関わっています。
大腿四頭筋とハムストリングを衰えさせないことで膝の可動域を保つことができます。

痛みなく動かせる無痛性とは?

どんな動作をしていても膝には荷重がかかります。
膝に荷重がかかっても痛みを感じないのは、無痛性という性質があるからです。
痛みを感じないのは、関節軟骨、半月板のお陰なのです。
軟骨は、神経がないので、衝撃を吸収しても痛みを感じることがありません。
関節液に含まれるプロテオグリカンという物質には、強い粘り気があるので、衝撃の吸収を助けてくれます。

膝の動きについて

膝は、日常の動作から激しく動くスポーツなど、様々な体の動きに対応しています。
膝の主な動きは、関節を曲げ伸ばしする屈伸運動と、関節を回す回旋運動です。
屈伸運動は、大腿骨が脛骨の上を回転しながら移動する転がり運動と、回転はするけど移動しないすべり運動が組み合わさった複雑な動きです。
回旋運動は、膝を曲げた状態で膝より下の部分が内側と外側に動くことです。
女性座りやあぐら、歩いている時に方向転換する際などに、回旋運動がありますが、膝をひねる動きは、膝に大きな負担がかかります。
膝は、屈伸運動と回旋運動の他にも、多様な方向に動きます。

内反 外反
内反 外反

引用元;サイト名:膝の痛み – クリニックスタッフブログ – 医療法人 八十田医院 やそだ整形外科リウマチクリニック

内反は、まっすぐ立った状態で膝の内側が開くことで、極端な内反膝がO脚です。
外反は、内反の逆で、まっすぐ立った状態で膝の内側が閉じることで、極端な外反膝がX脚です。
膝には、前後方向のずれ運動、内側、外側のずれ運動、引っ張り、圧縮といった遊びの動きがあります。
遊びの動きは、動く範囲はわずかですが、多様で複雑に動く膝にはなくてはならないものです。

膝が痛くなる病気について

スポーツによる怪我・障害

スポーツでの外傷でよくあるのは、半月板損傷や靭帯損傷です。
スポーツ外傷は、一度の急激な圧力によって起こる怪我のことで、バスケットボールやバレーボール、サッカー、スキーなどでよく起こります。
スポーツでの障害でよくあるのは、ランナー膝やジャンパー膝です。
スポーツ障害は、繰り返し同じ動作をすることで膝に過度の負担がかかり、過度の負担がかかった部分が損傷することです。
スポーツ外傷・障害の治療は、怪我した部分、損傷した部分を安静にして、組織の回復を待ちますが、必要に応じて手術を行います。

膝関節の病気

膝関節の病気で多いのは、化膿性関節炎と特発性骨壊死です。
化膿性関節炎は、関節に細菌が入り込み化膿すること炎症のことを言います。
化膿性関節炎のほとんどが黄色ブドウ球菌の感染によるもので、感染経路は、関節の怪我や関節内注射のほか扁桃腺や膀胱炎など、体内の他の感染巣から細菌が血流にのって移動して膝で増殖するのです。
化膿性関節炎の症状は、関節の強い痛みや腫れなど、炎症症状のほかに、発熱や悪寒、だるさなどを伴い、放っておくと、関節の軟骨や骨が破壊されていきます。
治療は、抗生物質の点滴を行い、関節の中に膿がたまっていれば、注射器で吸って取り除いたりします。
軟骨や骨の破壊が強い場合は、感染が治まってから、人工関節に置き換える手術を行うこともあります。
特発性骨壊死は、骨の組織が死んでしまう病気で、大腿骨顆部という部分に起こると、膝が激しく痛みます。
60歳以上の女性に多くみられますが原因は不明です。
痛み止めなどの薬物療法や、大腿四頭筋を鍛える運動療法が行われますが、骨の壊死が進むと手術も検討されます。

関節リウマチ

関節リウマチ(自己免疫疾病の一つ)は、本来、最近やウイルスなどから体を守る免疫の仕組みに異常が起き、自分自身の体を攻撃するようになる病気で、この攻撃が関節に向かい、全身の関節に炎症が起こり関節が破壊されるのです。
30~50歳代の女性に発症することが多く、指の第二関節や手首など、はじめは小さな関節に痛みや腫れがおこりこと、左右対称に症状があらわれることなどが特徴です。
血液検査をすると、RA抗体という物質の値が高いので、診断は比較的容易です。
痛風は、血液中の尿酸値が高くなる高尿酸血症にともなって起こります。
足の親指の付け根の関節に突然、発作的に激痛が走りますが、膝に激痛が現れることもあります。
血液中に尿酸が過剰に増えると、尿酸が結晶化して関節に沈着します。
関節に沈着した尿酸がはがれ落ちると、白血球などが尿酸を攻撃して炎症が起こり、痛みが生じます。
痛風発作を起こすのは、90%以上が男性で、中高年に多いですが、最近は若年化しています。
痛風の治療は、薬物療法や食事療法、運動療法による尿酸値のコントロールが基本です。